1万人が梨を見つめる光景:ふなっしーは一貫性の大切さを体現している
「いないね、黄色いシャツの人」
九段下へ向かう地下鉄で、男性二人組がお話していました。ぜったい梨友さんです。(※「梨友」とはふなっしーのファンのこと)
そんな彼らの隣で私は声を上げたくなりました。
「黄色いスカートの人ならここにいます!」
黄色いスカートに青のトップスと自分なりにふなっしーを意識したスタイルだったのに梨友認定されなかったことが、なんだか恥ずかしくなりました。
そんな、ちょっと微妙なテンションでいざ武道館へ。
ふなっしー単独公演は、面白くてシュールで夢があって発想も広がる幸せなひとときでした。
そして、ふなっしーはひたすら凄かった。
その「凄さ」のひとつは、それを行うのがふなっしーってだけでなんでも楽しいってことです。
「何を」伝えるかと「誰がどういうふうに」伝えるか
私は日頃「伝える」ことを行っています。
歌でその世界観を伝えたり
言葉で歌やマナーについて伝えたり
文章で思考方法について伝えたり
その際に大切にしていることのひとつが「何を」と同じように「誰がどういうふうに」にこだわるということです。
同じ内容でも「誰に言われるか」や「言い方」によって受け取り方が変わることってありますよね。
そして、納得感は「誰がどういうふうに」のほうに宿るのではないかと思います。
ふなっしーはとにかく「誰が」のアドバンテージが強い
ふなっしーのライブでは、この「誰がどういうふうに」の、特に「誰が」のアドバンテージが強すぎました。
- ◯◯が単独武道館ライブをする
- ◯◯がワイヤーで釣り上げられて空を飛ぶ
- ◯◯がギターの弾き語りをする
「アイドル」だったらもちろん盛り上がりますが、意外性はありません。
でも、これが「ふなっしー」ってだけで不思議な高揚感がありますもん。
- ふなっしーが単独ライブ? ふなっしー何やるんだろう?????
- え!? ふなっしー、ワイヤー出てるけど……飛んだ~!!!! 着地大丈夫?? あ、今地面スレスレだけど大丈夫かな!??
- え!? ふなっしーが弾き語り!??? どうやって弾くの? まさかのそんな方法!!!!?
好きな人がそこにいるからそれだけで興奮するという普通のアーティストのライブに来た感覚に加えて、こういったハラハラドキドキな「ふなっしー」だからこその楽しみ方があるのです。
しかも、それは凄く分かりやすくて会場にいる「梨友」さんみんなと共有できる。そうして生み出された会場の雰囲気はあたたかでした。
この環境をつくりだしたのは、ひとえにこれまでのふなっしーのブランディングです。それを成した決断力とプロ根性です。
何事もはじめることより続けることのほうが難しいものですが、ふなっしーは一貫性を持っています。
ふなっしーの核となる要素は何かを知り、それを崩しません。
そんなふなっしーのこれまでのあり方が、「1万人が梨を見つめる光景」を生み出したんだなと思いました。