コミュ力は作れる:「感情の交換」をするためにお話のスピードを工夫してみよう
心ない言葉を言われたというショックな出来事があったとしましょう。
それを友達に伝えたときに、「え? それそんな酷くなくない? 普通のことじゃない?」と上手く伝わらないことがありませんか?
そんなとき、もしかしたらあなたがショックを受けたのは、言葉面ではなく言い方だったのかもしれません。
お話をするときは「意味の交換」と「感情の交換」の2つを行っている
お話をするとき、言葉が具体的な内容を伝えると同時に声色やリズムが感情を伝えます。
「じゃあ、明日の14時に渋谷で待ち合わせね」
と友達に言われたら
言葉から、集合場所は渋谷・集合時間は14時ということを理解します。
しかし、それだけではないお相手の感情も読み取っているはずです。
それはたとえば、
・声が弾んでる。明日の予定を楽しみにしてるな
・声の乗りがよくないな。今日はなんか疲れてるみたい
・ちょっと素っ気なかったけど今忙しかったかな
というように。
人は「感情の交換」の方を重要視する
この「感情の交換」の視点を持つと、お相手に好意が伝わりやすくなります。
メラビアンの法則って知ってますか?
『人は見た目が9割/竹内一郎』で有名になった法則です。
第一印象は0.5秒で決まる。
その第一印象に影響を与えるのは、影響力が多い順に以下のようになるという実験結果です。
1. 視た印象(姿勢・表情・立ち振舞など) 55%
2. 聴いた印象(声の質・高さ・速さなど) 38%
3. 言葉の内容(具体的な情報) 7%
私たちは、言葉よりも、お相手の表情や声の感じからお相手の状況を察しようとするということなんです。
これは、日々の生活の中で私たちが自然と行っていることでもあります。
「元気だよ―(笑ってない表情)」
と言っている友達がいたら、あなたは「元気そう!」と思いますか? それとも「疲れてるみたい」と思いますか?
同じように、「元気だよー(ヨレヨレの声)」と言っていたら、どう思いますか?
口にされている言葉よりも、表情や声の感じの方がそのお相手のことを的確に表しているように感じるはずです。
私は、この表情や声の感じの部分が「感情の交換」を、言葉の内容が「意味の交換」を主に担うと考えています。
そして、お話を通してお相手に好印象を与えたいと思うなら、この「感情の交換」へ気配りをしてみましょう。
「お相手を受け止める気持ち」が一番大事
「感情の交換」を担うものはさまざまです。
表情、声の大きさ、声の音色、お話のスピード、間の入れ方、視線の扱い方、発語の美しさ、抑揚などなど。
さまざまな要素が混ぜ合わさって「印象」を作り上げます。
こうして分解してみると多くの要素があるようですが、お相手を受け止める気持ちがあれば自然と加減ができるものです。
これからひとつだけ、「感情の交換」の具体的なポイントをお伝えしますが、その前に、毎度のことですがここで以前の記事の内容に立ち返りましょう。
「好意を伝えるのは難しい」という内容でした。
お話の仕方も同様です。
しかも、笑顔やアイコンタクト以上に「こうすればいいよ!」と言い難いものです。
お相手や状況その場の空気によって、適切なものが変わってくるからです。
ですから、これからスキルをお伝えしますが、一番大切なのは「お相手を受け止める気持ち」ということを心に留めておいてください。
お相手のスピードを引き継ごう
お伝えするのは、コミュニケーションの原則とわれるお話のスピードに関する法則です。
「お相手が話し終わったスピードを受け継いでお話をはじめる。その後で、自分のスピードにする」ということです。
実演できないのがもどかしいのですが、コミュニケーションを取ろうとするとき、つまりお相手と「感情の交換」をしようとするときは、お相手を含めたその場の空気がお話のスピードを決定します。
反対に、それぞれが全く違うスピードで話している状態は「コミュニケーションの断絶」です。
例えば、親が子を叱るとき、友達通しの喧嘩、非常に興奮しているとき。
コミュニケーションを取ることよりも自分の主張を強く打ち出すことが優先されるとときには、自分だけに起因するスピードで言葉を口にします。
ですから、お話のスピードが咬み合わないこと、「この人すごく強く主張してくる。私の話はあんまりていねいに聞いてくれてないんだな」という気持ちになってしまうのです。
この「お相手の話し終わりのスピードを受け継いで話し始める」というコミュニケーションの原則は、人は誰だって「話したことを受け止めてほしい」と思っていることの裏返しだと思います。
人は、自分のお話をていねいに受け止めてくれる人へ好感を持つものです。
お話のスピードは自分ではなくその場の空気に起因するということ、ぜひ試してみてください。