ゼロからさきへ

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色気について考えてみた

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色気がないないと言われ続けた大学時代。

 

「お前の声すごく綺麗なんだけど……色気がないんだよな

「そこで振り向いてみ?……ダメだ。全然色気ないんだけど

「あなた、宗教曲はすごく似合ってるけど、恋の歌はやめた方がいいわ。……まだ色気が足りないみたい

 

歌の師匠や演出の先生をはじめとする音楽仲間ににこう言われる日々。

 

日常生活を振り返ってみても「色気がない」と言われたことこそないもの、言われたことのある褒め言葉に色気と縁のある言葉はなかった。

 

色気は私には縁遠いのかも……

 

ということを悩んだ時期もありましたが、20代半ばに差し掛かってもこんな調子。 

人は慣れる生き物です。

「色気がない」ことに私は慣れきってしまいました。

 

 

しかし、私は色気を獲得したようなのです!

 

 

「色気がある」って褒められた

その実感は、先月の演奏会にて。

 

演奏会の後、お客様に話しかけられました。開口一番

 

あなたの声いいわね……色気があるわ

 

と。

 

 

あなたの声いいわね……色気があるわ!?

 

私は困惑しました。嬉しい反面、この方変わった方ねと思いました。ごめんなさい。

 

しかし、その後、他の方にも

「あなた、よかったよ! 色っぽかった!」

 

などと「色気」にひもづく言葉をいただきました。

 

もしや、……

 

いやいや、たまたまそういうのに敏感な方が集まっただけかもしんない。

ぬか喜びはしたくない。

ということで、私を昔から知る人に確認を取りました。そうすると

「確かに。色っぽくなったよ」 

 

 

私自身知らぬ間に「ビフォーアフター」が起きていたようです。

 

 

色気とは何なのか?

そんな私の「ビフォーアフター」を通して色気について考えてみました。

 

 

この5年ほど、私は歌における「自然さ」を追求してきました。

 

最初は基礎力向上に取り組みました。

歌を構成する技術を分解して、そのひとつずつの精度を機械的に高めました。

 

次に、「揺れ」に取り組みました。

技術は画一的に発揮できるというだけでは作為的に感じられてしまいます。その時・その状況にそぐう最適なバランスに合わせられてはじめて自然さを得るのです。その「揺れ」について場合分けをしながら傾向を分析し仮設を立て、実行してみてその効果を確かめるということを何度も行いました。

 

こうして、「揺れ」までが当たり前にこなせるようになったときに、

あなたの声いいわね……色気があるわ

とおっしゃっていただけました。

 

と、するならば。

 

色気というものは技術の成熟に宿るものなのだろうと思います。

 

歌しかり

身のこなししかり

身だしなみしかり

存在に対するものしかり

 

そのことについての基礎ができて。

流れを十分に理解し、シンプルにこなせるほど研ぎ澄まされて。

身体的にも頭脳的にも慣れたからこそ生まれる余裕。

その中での遊び。

それこそが色気なのかもしれません。